三重県紀伊長島町で日本瓦の吹き付け塗装を行いました。今回の物件は平屋の建物で住宅密集地域でないため、飛散防止の仮設足場は設置せず施工することができました。
日本瓦の吹き付け塗装
日本瓦(いぶし瓦)の塗装について
日本瓦の一つであるいぶし瓦は無釉瓦とも呼ばれる屋根瓦です。
その寿命は40年から50年と言われています。非常に耐久性の強い瓦なので塗装によるメンテナンスは必要ないというのが定義になっていますが、永久的な強度があるわけではありません。
今回の施工例は、新築時からの経過年数が40年ということもあり、経年劣化によるひび割れ、コケの繁殖、美観の低下が著しいことと、施主様のご要望により、将来に向けての耐久性を確保するために行いました。
使用塗料は、メーカー標準仕様では下塗り工程の必要がない「いぶし瓦専用塗料」を使用しましたが、現地点検時の劣化状況と将来への耐久性を考慮し、あえて下塗り塗装を行っています。
🏠施工前

築40年近くの経過で耐久面での不安はやはり大きくなります。ひび割れや、ズレが複数個所に及んでいます。
今回の塗装は、瓦の一部差し替えと瓦止めシーリング工事を行ったリフォーム屋さんからの依頼です。強度と美観を高めるための吹き付け塗装を行います。
🏠施工後

補強材(シーリング)に仕上げ塗料を密着させるためエポキシ系の下塗り塗料を塗布。瓦色としての銀黒色は吹き付け塗装で仕上げなければムラになってしまいます。
平屋の建物で周囲に隣接する建物がなかったので、ネット養生のための足場を設置せず施工できました。
施工データ
塗料メーカー | 大同塗料株式会社 |
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使用塗料 | ハイルーフマイルドシーラー |
塗料名称 | 弱溶剤2液型シリコンアクリル樹脂系塗料 |
期待耐用年数 | 6~8年 |
施工箇所 | 屋根瓦 |
施工価格 | 22万円5千円 |
類似物件参考価格 | 22万円~25万円 |
施工前の状況

依頼主のリフォーム屋さん施工の瓦補強が完了した状態です。
高圧洗浄時の瓦のズレからの浸水と、作業移動時の瓦の割れを防ぐため、補強工事完了後に高圧洗浄を行います。

全体的にコケの繁殖が見られましたが、日当たりの悪い北面がやはり目立ちます。
コケの種類によっては、非常に除去しずらい場合もありますが、画像のようなコケは高圧洗浄で比較的簡単に除去できます。
施工中の状況
高圧洗浄

高圧洗浄機を使用して丁寧にコケを落としていきます。
洗浄ガンには、水圧調整ハンドルがついているので、瓦の隙間からの浸水に注意しながら慎重に作業を進めていきます。

画像(右側)のようにコケを完全に除去し、瓦が乾燥したのちに塗装作業を行います。
コケの繁殖が多かったこともあり、高圧洗浄にかかった時間は約6時間でした。
下塗り

非塗装部のビニール養生が終わったら、吹き付け塗装が困難な細部を手塗りで先行塗りしていきます。
塗装しているのは下塗り用のシーラーという塗料です。

スプレーガンを使用してシーラーを吹き付けていきます。
今回あえて下塗り塗装を行っていますが、下塗りのメリットは瓦の強化、上塗り塗料の付着性向上、耐久年数の長期化など多くあります。
中塗り

中塗り塗装中(画像上部)の状況です。
中塗り塗料と上塗り塗料は同じ塗料を使用します。
同じ性質の塗料を塗り重ねることで塗膜の厚みを確保し、耐久性を高めるのが目的です。

中塗り塗装が完了しました。
この段階で瓦は完全に着色されますが、後日上塗り塗装を行うことでさらに艶が出ます。今回は下塗りと合わせて3層の塗膜がつきますので耐候性が大きく期待できます。
上塗り

上塗り塗装完了後の様子です。
瓦止めシーリングと合わせて塗装を行っているので、耐久性と合わせて美観性も向上しました。

鬼瓦部の細部まで丁寧に塗装します。
細かい隙間などは手間を惜しまず、絵画用の筆を使用して塗装しました。
施工完了

新築から40年。老朽化の激しかった日本瓦が美観と耐久を取り戻しました。非常に耐久性が高いといわれる日本瓦ですが、ある程度の老朽が見受けられる場合、今回の様に瓦止めシーリングや塗装工事がおすすめです。
今回使用した塗料一覧~製品情報
今回の工事で使用した塗料の一覧をまとめてあります。
製品情報(WEBカタログ)をご覧になる場合は、画像下のリンクボタンからご覧ください。
以下の塗料では通常は下塗り塗装の工程は必要ありません。