外壁塗装の耐用(耐久)年数

住宅の外壁塗装の施工例とページタイトル

塗料の種類と耐用年数比較

ここでは、戸建て住宅など一般建築物の外壁塗り替えに使用する代表的な塗料の 種類と、耐用年数について比較しています。

住宅の塗り替えによく使用する塗料の種類ウレタン、シリコン、ラジカル、フッ素

塗料の種類(建築系・塗り替え)

主要構成樹脂の種類と付加機能!「水性・油性」「1液・2液」の特徴

外壁塗装で使用する主な塗料は「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「ラジカル塗料」「フッ素塗料」「無機塗料」です。
このうち、塗料の樹脂成分(主要構成成分)で表すのが「ウレタン樹脂塗料」「シリコン樹脂塗料」「フッ素樹脂塗料」です。

「ラジカル塗料」は、紫外線による塗膜劣化を制御する機能性塗料で耐候性の高さと長期の耐用年数が特徴です。
「無機塗料」は、各種樹脂塗料に無機質成分(鉱物粉、ガラス粉など)を配合した塗料で強固な塗膜が特徴です。

いずれの塗料も水で希釈して使用する「水性塗料」と、シンナーで希釈して使用する「油性塗料」の製品があり、塗装下地との相性や建物の立地環境によって使い分けます。水性塗料と油性塗料の特徴は以下のようになります。

水性塗料➡臭気性が低く耐久性に優れるが、木部・鉄部への使用は不向き。
油性塗料➡耐久性に優れ下地を選ばず使用できるが、特有の臭気性がある。

さらに水性・油性の各塗料には「1液型」「2液型」のタイプがあります。1液型と2液型の特徴は以下のようになります。

1液型➡主剤のみで使用するタイプの塗料です。
材料を調合する手間がなく作業性が良好。希釈した材料は翌日も使える。
2液型と比べて塗料の価格が安価な場合が多いので、塗装単価が若干割安な傾向。

2液型➡主剤と硬化剤を混ぜて使用するタイプの塗料です。
材料を毎回調合する手間がかかるため作業性が悪い。調合した材料は数時間で硬化するため翌日は使えない。
1液型と比べて塗料の価格が高額な場合が多いので、塗装単価が若干割高な傾向。

塗料の主要構成成分(樹脂)と機能性

塗り替え年数は樹脂の性能が基準!機能性向上は付加要素の有無が基準!

塗料の成分は、顔料(色彩、さび止め)・添加剤(防カビ、さび止め)・溶媒(希釈溶剤)・樹脂(耐候、保護)ですが、塗料の耐用(耐久)年数に大きくかかわっているのが各塗料の樹脂成分の性能です。
また、前述のラジカル制御や無機配合などは、シリコンやフッ素などの主要構成成分(樹脂)に付加することで塗料の性能アップに一役買っています。

耐用年数を基準に樹脂成分の性能(※)を比較すると、ウレタンシリコンフッ素の順となります。
ウレタン樹脂とシリコン樹脂では極端な差は生じませんが、フッ素樹脂では耐候性・低防汚など性能全般が格段に向上します。
近年主流のラジカル塗料の主要樹脂はシリコン樹脂ですが、ラジカル制御の付加機能を含めると上位クラスの塗料といえます。
また、塗料の価格がフッソ塗料や無機塗料ほど高額でないので、工事費用の軽減(高コスパ)にも大きく貢献します。
(※)性能⇒耐紫外線、防汚、親水、美観維持などの耐候性、耐久性

耐久性の高さで取り上げられることがある無機塗料ですが、主要構成樹脂の性能によって耐久性(耐候性)は大きく異なります。
無機成分自体には付着性がなく塗料を構成するシリコンフッ素などの樹脂塗料に配合することで無機塗料と呼ばれています。
ですので、無機塗料という名称でも、シリコン系無機塗料とフッ素系無機塗料の比較では、塗り替え周期の目安となる期待耐用年数はシリコン無機がフッ素無機より短くなります。

耐用年数とは”一回の塗装で何年持つか?”という目安ですが、各塗料の主要構成樹脂の品質が主な基準です。ラジカル制御や無機配合の様に、プラスアルファの要素が耐用年数に反映する割合はさほど大きくありません。

樹脂塗料と付加要素の組み合わせはメーカー各社で独自性があり、ラインナップされている製品も様々です。また、塗料に求める品質や価値観はお客様各位で異なりますので、一概に”このメーカーのこの塗料が最高品質”と言い切ることはできません。
塗装専門業者として塗料品質を考える際は、主要構成成分である樹脂の性能を基準に付加要素の有無を加味して考えます。

塗料の耐用年数比較

前述の主要構成成分(樹脂)と付加要素の有無が塗料の性能を比較しやすい要素です。機能性向上の付加要素が耐用年数に直接反映しない場合もありますので、塗料を選ぶ基準は各製品の耐用年数を基準にすると分かりやすいと思います。
以下の耐用年数比較は外壁塗装の場合の比較です。

塗料名称 耐用年数目安
ウレタン塗料 8~10年
シリコン塗料 12~15年
ラジカル塗料 14~16年
フッ素塗料 18~22年
無機塗料 以下参照

無機塗料の耐用年数について

"無機塗料"は、有機塗料(樹脂塗料)に無機物(鉱石※例1、ガラス※例2等)が含まれた塗料の総称です。
耐久性(固さ)は塗料に含まれる無機物の含有量に依存します。また、耐候性は各無機塗料の主要構成樹脂の性能に依存しますので、無機塗料という名称だけでは耐用年数が表わしにくい塗料です。
無機塗料の名称でも耐用年数が約5年の塗料もあれば、最長20年以上といわれる塗料もあります。
セラミック塗料と表記することもある無機塗料の種類は多種多様で、耐用年数の定義が定まっていないのが実情です。

(※例1)ケイ素(シリカ⇔二酸化ケイ素から還元される高純度無機物)
(※例2)ガラス原料(シリカ⇔二酸化ケイ素⇔石英などの無機物)

各種塗料の耐用年数と美観性

塗料の種類と耐用年数の比較。塗り替え時期の目安は紫外線劣化!

外壁塗装用の塗料の種類と耐用年数の比較グラフ

図の中の年数は外壁塗装に使用する代表的な塗料の種類と耐用年数を表しています
塗料の種類によって異なる耐用年数ですが、どの塗料も塗膜劣化の要因として大きく影響を受けるのが紫外線です。
立地環境によってある程度差がありますが、紫外線の影響を受けやすい南面は北面より早く劣化するのが一般的です。
塗料の耐用年数を目安に色あせやチョーキング(粉化)が目立ち始める時期が塗り替えのタイミングだとお考え下さい。

塗料の艶度もプラン選択の要素!艶の光沢は幅広く調整可能!

外壁塗装の樹脂別光沢維持年数の比較グラフ

図の中の数字は各種樹脂と艶度の関係です。
水性塗料より粒子の細かい油性塗料は艶度(光沢)が高い傾向にありますが視覚的に極端な差はありません。
艶のイメージは、艶無し、3分艶、5分艶、7分艶と調整できる塗料が多くあります。艶調整は、艶有り塗料に艶調整剤を添加して調合するので樹脂含有量が少なくなる分、耐久性が低下するという見解が塗装業界では一般的です。ただし、耐久性にどの程度影響するのかという厳密なデータはありません。

塗料の特徴と使用頻度

外壁塗装用の塗料の種類と耐用年数の比較グラフ

ウレタン塗料は、柔軟性があり伸縮する木部と相性が良い塗料です。耐候性はシリコンより短く近年使用頻度は減少気味です。
シリコン塗料は、低汚染性と美しい光沢が特徴の塗料です。
ラジカル塗料は、シリコン樹脂に塗膜劣化制御の機能が付加された塗料です。従来シリコンよりワンランク上のイメージ。
フッ素塗料は、美観(艶度)・低汚染・耐用年数のすべての面で優れた機能性を持つ最上位の塗料です。
費用は高額ですが、最高品質をお求めの方におすすめです。

水性塗料と油性塗料の耐用年数

外壁塗装用の塗料の種類と耐用年数の比較グラフ

「水性塗料と油性塗料で耐久年数は変わるの?」と、質問を受けることがありますが、同じ樹脂成分(シリコン・フッ素など)なら、水性系・油性系で耐用年数に差はありません。
水性塗料は、臭気性が低いので周辺環境に配慮が必要な住宅密集地での使用に向いていますが、鉄部・木部との相性はよくありません。 一方で油性塗料(弱溶剤系)は若干の臭気性はありますが、下地を選ばず幅広い部位に使用することができます。
塗料の耐用年数は主要構成成分(樹脂)の性能に依存します。

メンテナンス周期の目安となる期待耐用年数ですが、当店が推奨している塗料メーカー《エスケー化研》では同じ樹脂塗料の場合、水性塗料・油性塗料とも同じ年数に設定されています。

過去には水性塗料より油性塗料のほうが長持ちするという見解もあったようですが、定義はなく、近年では塗料メーカーの開発技術の進歩によって、水性塗料と油性塗料の品質に差はないといえるでしょう。

住宅塗装で使用する塗料の樹脂はウレタン・シリコン・フッ素が主流です。近年人気のラジカル塗料の《ラジカル》は塗膜の劣化因子の名称です。塗膜の劣化を制御する機能性塗料がラジカル制御塗料です。

ポイント

塗料選定のコツとしては、最も劣化しやすい部分にフッ素塗料やラジカル塗料など耐用年数の長い塗料を使用します。
屋根にフッ素塗料を選択した場合、外壁にはラジカル塗料。屋根にラジカル塗料を選択した場合、外壁にはシリコン塗料を選択していただくと建物全体の耐久バランスが整います。

住宅の塗り替えによく使用する塗料の性能と価格の比較グラフ

塗料の耐用年数は塗り替え時期の目安

このページで記載している塗料の耐用年数は、塗料メーカーが人工的に塗膜劣化を促進させる促進耐候性試験を行い、独自に設定(公開)している期待耐用年数です。
塗膜の劣化は、艶引け(減色・変色)⇒チョーキング(塗膜粉化)⇒汚染(藻・カビ等)⇒ひび割れ(微細)⇒剥がれ、膨れというふうに症状が進行していきますので、大手塗料メーカーでは塗膜劣化の初期症状である艶引け(光沢保持率)の品質を示す促進耐候性試験のデータを耐用年数の指標にしています。

設定されている耐用年数を超過したからと言って直ちに建物(塗装対象物)に不具合が生じるわけではありません。また、期待耐用年数は、塗膜の性能を保証する期間・塗り替えが不要(必須)という期間ではありません。

【水性】シリコン樹脂ラジカル制御塗料の促進耐候性試験の結果

水性タイプのシリコンラジカル塗料エスケープレミアムシリコンの耐候性試験の結果です。過酷な環境下でも高い光沢(艶)を長期間保持しているという検証結果です。

エスケープレミアムシリコンの促進耐候性試の結果グラフ

【油性】シリコン樹脂ラジカル制御塗料の促進耐候性試験の結果

油性タイプのシリコンラジカル塗料エスケープレミアムNADシリコンの耐候性試験の結果です。過酷な環境下でも高い光沢(艶)を長期間保持しているという検証結果です。

エスケープレミアムNADシリコンの促進耐候性試の結果グラフ

上のグラフは塗料メーカーエスケー化研(株)が公開している促進耐候性試験の検証結果グラフです。
塗膜劣化の初期症状である光沢(艶)保持率を検証するために、太陽光に近い人工的な光源(キセノンアークランプ)を一定時間照射し塗膜の光沢保持率を検証しています。

キセノンランプ照射時間300時間が太陽光(紫外線/赤外線)照射1年相当となりますので、グラフ内の数値では約10年間で80%以上の光沢を保持できているという結果になります。前述のとおり塗膜劣化の初期症状は光沢の低下(艶引け)ですので、光沢保持率が高い塗料は耐候性に優れる塗料と言えます。
ただし、建物の立地条件や環境で塗膜の劣化状況は大きく変動しますし、塗膜劣化の要因は太陽光(紫外線/赤外線)以外にも、雨(水)、湿気、大気汚染物質、藻、カビの発生(繁殖)なども影響しますので、設定されている耐用年数(期待耐用年数)は、あくまで塗り替え時期の目安としてお考え下さい。

耐用年数アップ!当店おすすめのラジカル制御型塗料!

超耐候形水性ハイブリッドシリコン樹脂塗料

外壁塗装用塗料プレミアムシリコンの商品と説明文

エスケープレミアムシリコンは、エスケー化研(株)が2014年に開発したラジカル制御型水性塗料です。高耐候シリコン樹脂と塗膜内で発生する劣化因子を制御するラジカルコントロールを組み合わせたハイブリッド型塗料です。
期待耐用年数が14年~16年という長期設定でありながら工事費用は従来のシリコン樹脂と同等の価格帯という高いコストパフォーマンスを実現しています。

超耐候形一液NAD特殊シリコン樹脂塗料

多用途型塗料プレミアムnadシリコンの商品と説明文

水性ラジカル塗料のプレミアムシリコンに続き、油性塗料のプレミアムNADシリコンが2017年に登場。
水性型と同じく期待耐用年数が14~16年と長期に設定されています。すぐれた防汚性と塗膜劣化制御機能が特徴です。
水性塗料の塗装が不向きな鉄部や木部にも塗装でき、旧塗膜を選ばず塗装できる弱溶剤タイプの塗料です。
従来のシリコン樹脂塗料と同等の価格帯で施工できます。

遮熱塗料の効果と耐用年数

太陽光(赤外線/熱)反射機能が魅力!耐用年数は樹脂の性能が基準!

遮熱塗料の代表的な機能は、太陽光(赤外線/熱)を反射することによる塗装部位(外壁・屋根)の蓄熱低減効果です。
外壁(屋根)の蓄熱を低減させることで、室内の温度上昇を抑える効果が期待できます。
塗膜劣化の要因となる紫外線・雨(水/湿度)などへの耐候性(耐用年数)については、遮熱塗料に使用される樹脂成分に依存します。たとえば、シリコン遮熱塗料と遮熱でないシリコン塗料を比較した場合、耐用年数はどちらも同じ期待耐用年数となります。
前述のラジカル塗料や無機塗料のように機能性向上効果はありますが、塗膜の紫外線劣化を制御するラジカル塗料や、強靭(硬い)な塗膜を形成する無機塗料のように塗膜を強くするイメージではなく、その機能性(付加機能)は遮熱効果に特化しています。

汎用塗装(遮熱でない塗料)と比較した場合の実験データとして、太陽光(赤外線/熱)反射率・建物内の温度低減が実証されていますが、室内の温度環境は、建物の構造(木造・鉄骨)や断熱材の種類(有無)・窓・扉の開閉頻度(換気)などにも大きく影響されますので、遮熱塗装⇔室内温度低減(涼しい)という体感的な効果を実感できない場合もあります。
金属下地の場合、熱による膨張収縮を抑制することで劣化(塗膜剥離など)を軽減できるメリットがあります。

塗料メーカーの製品情報

以下のリンクボタンからメーカー公開情報(各塗料の特徴)がご覧いただけます。


塗料情報公開ページ最下部記載の「カタログPDF(製品名)」から、WEBカタログがご覧になれます。

塗料メーカー・エスケー化研ウェブカタログのサンプル

塗料メーカー・エスケー化研ウェブカタログページへの案内

各種塗料には、機能性・耐久性・臭気性など、それぞれに特徴があり、塗装部位(塗装下地)や建物の立地環境に最適な塗料を選択する必要があります。

ハギシン塗装では豊富な経験と知識を活用し、塗装対象物の状態に応じた適切な施工とお客様のご要望に応じたオリジナル施工プランを提案いたします。

住宅のキャラクターイラスト

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